センター長メッセージ
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センター長 岩永 知秋 |
パリオリンピック・パラリンピックの報道が毎日行われる中、今年も日本列島は猛暑・酷暑に見舞われています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は第11波の流行となり、わが国での新規入院患者数は第9波(昨年夏)、第10波(昨年冬)を上回ったことが報道されました。ことに、九州での流行が顕著となっており、福岡市内ではコロナ病床が逼迫しているようです。久山療育園でも入所者、職員に発症があり、2022年冬に続く規模のクラスターとなったためその対応に追われています。今年春には、この5年間における久山療育
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センター長 岩永 知秋 |
園のCOVID-19との闘いをまとめた「新型コロナ(COVID-19)敢闘記」を刊行したところですが、ウイルスはKP.3株に変異してその感染力、免疫逃避力を増強しています。感染症法上の取り扱いが5類に変わり、久山療育園でも行事や業務、外出・外泊、面会などをコロナ前の状態に戻そうとしているところですが、しばらくは慎重に対処していかなければなりません。
相模原の津久井やまゆり園事件から8年との報道が先日あり、また九州内の障害者施設で虐待事件が注目を集めました。障害を持つ人の人権をいかに守るか、私たちの日々の業務が障害を持つ人の尊厳を侵していないか、あらためて障害者施設で働く人たちひとりひとりにその問いを突き付けられています。福岡県では、久山療育園と国立病院機構福岡病院のお世話で、年2回県内の重症心身障害施設が集まり、協議会を開催しています。この中において、重症心身障害の医療・福祉全般について意見と情報の交換を行っていますが、障害者の人権の問題は最も重要な課題の一つです。問題意識を共有するなかで、福岡県の医療と福祉のレベルの向上に努めていこうと考えています。
毎年のように災害レベルの猛暑に見舞われるとともに、今年も豪雨災害が頻発しています。障害者施設でもこのような自然災害に対して、きちんと普段からのケアが継続できるよう、事業継続計画(頭文字を連ねてBCPと呼ばれます)を策定しました。久山の地ではまず地震災害に対する備えが必要と考えられます。入所者の安全確保が最重要であり、ライフライン・非常用備品・職員の確保、情報網の点検、地域との連携など、クリアすべき多くの課題が山積しています。今後、その作成足した計画を訓練によって確認しながらブラッシュアップを図ってまいります。
最後になりますが、近年の人手不足の折から職員の欠員が出ています。広くより良い人材を求めておりますので、お心当たりの方は当園事務室までご連絡いただけると幸いです。よろしくお願い申し上げます。
久山療育園重症児者医療療育センターについて
久山療育園重症児者医療療育センター(「久山療育園」)は1976年9月に開園し、2008年度に「久山療育園重症児者医療療育センター」と名称を変更しました。それは、これまでの働きが創立理念に従って、進めてきた結果です。即ち「久山療育園は単なる収容施設ではなく、新しい福祉社会(福祉共同体)づくりの拠点である」という理念に基づいて、2015年7月に「在宅支援センター」が開設されました。
「在宅支援センター」の働きから福祉共同体の実現、地域医療連携へと、創立理念がようやく実現に至る端緒に着いたことになります。「在宅支援棟」の役割は、「在宅支援センター」の司令塔としての働きであり、「重症者ホームひさやま」は久山療育園の医療病床94床(①医療重点病棟、②療育重点病棟、③生活重点ユニット及び短期入所病床併設6床)へと繋がる第四の入居受皿となるグル−プホームです。これまで限界まで家庭で過ごして来られた重症心身障害児(者)とご家族の付託に応えられる「共にある」存在となれれば幸いです。